恋愛小説家のススメ!
「ひどっ…って、んっ…。あっ、ホントに美味しいね」

「そうでしょう?」

私は紙ナプキンで、桂木の口元を拭く。

…何だか弟の世話でもしている気分だ。

一人っ子なのに。

「じゃあ里桜も、はい」

桂木がフォークでタルトを切って、差し出してきたので、食いつく。

「なっ何だか色気がない食べ方だね」

「んなもん、私に求めるな」

どーせ犬がエサに食いついた図でも頭の中に浮かんだんだろう。

桂木の固まった笑顔はほおっておき、私はタルトを味わった。
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