恋愛小説家のススメ!
「そっそれじゃあ、私、バイトがあるから、コレで!」

「あっ、待って!」

慌てて去ろうとしたけれど、彼に呼び止められた。

彼は自分のバッグをあさり、一枚のCDを私に差し出した。

「コレ、良かったら貰ってくれないか? せめてもの礼だ」

ジャケットを見ると、サインがしてある。

「あれ? …もしかして、あなたのバンド?」

「ああ、ボーカルをしている」

なるほど。ヨミは当たったか。

「そっ。じゃあ遠慮なく貰っとく。将来このサイン付きCDに価値が出るように、頑張んなさい」

笑顔で言うと、彼も笑顔になった。

「分かった、頑張る。そっちもバイト頑張って」

「うん! じゃあね! 縁があったら、また会いましょう!」
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