短編集
「うぜえんだよっ!!このクソガキがああああーっ!!」
鼓膜が破れるかと思うほどの怒声とともに、5cmほどの石が飛んでくる。
その石は、紗耶の右手から放たれたもので、俺の右頬にクリティカルヒット。
「いってええええええええええええええっ!!」
俺の叫び声で、この団地の朝は始まるのだ。
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条崎紗耶(ジョウザキ サヤ)は、簡単に言うと美少女だ。
艶やかな黒髪、色白の肌、綺麗に整った顔、大きな黒目。
その上、成績優秀、運動万能。
だが……
良く言うと、気が強い。
悪く言うと、手の付けられない暴れ馬。
いや、良く言うと、俺のタイプ。
というか、俺の最愛の人。
だな。
以上、証明終了。
「紗耶、国語の教科し」
「隣に借りろ」
俺のみぞおちに紗耶の肘鉄が。
「紗耶、屋上で一緒にお弁と」
「地獄に行け」
俺の右膝の裏に紗耶のカポエラ的キックが。
「紗耶~愛し」
「オラァ!!」
俺の顔面に紗耶懇親のパンチが。
コレが、俺の日常。
俺、井上義隆(イノウエ ヨシタカ)の幸せ。
幸せって、こーゆーことだよなっ?