短編集

「うぜえんだよっ!!このクソガキがああああーっ!!」


鼓膜が破れるかと思うほどの怒声とともに、5cmほどの石が飛んでくる。

その石は、紗耶の右手から放たれたもので、俺の右頬にクリティカルヒット。


「いってええええええええええええええっ!!」


俺の叫び声で、この団地の朝は始まるのだ。


********************************


条崎紗耶(ジョウザキ サヤ)は、簡単に言うと美少女だ。

艶やかな黒髪、色白の肌、綺麗に整った顔、大きな黒目。

その上、成績優秀、運動万能。

だが……

良く言うと、気が強い。

悪く言うと、手の付けられない暴れ馬。

いや、良く言うと、俺のタイプ。

というか、俺の最愛の人。

だな。

以上、証明終了。


「紗耶、国語の教科し」

「隣に借りろ」


俺のみぞおちに紗耶の肘鉄が。


「紗耶、屋上で一緒にお弁と」

「地獄に行け」


俺の右膝の裏に紗耶のカポエラ的キックが。


「紗耶~愛し」

「オラァ!!」

俺の顔面に紗耶懇親のパンチが。

コレが、俺の日常。

俺、井上義隆(イノウエ ヨシタカ)の幸せ。

幸せって、こーゆーことだよなっ?

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