短編集
一応、俺は頭がいいほうの部類に入る。
というか、俺は学年1位だ。
全教科満点の1位。
紗耶も同点で1位。
同じ中学のヤツは、納得顔をして、
「やっぱ条崎が1位かー」
「さすが条崎さんだねー」
「あれ、もう1人の1位がいるけど?」
「ああ、条崎の下僕だよ」
む、なんか好き勝手いわれてる気がする。
下僕ってなんだよ。
他の中学のヤツは、初めてのテストなので、驚いていて、
「条崎さんって、あの美人だろ?」
「満点ってすごーい。やっぱ頭いいんだ」
「あれ?もう1人の1位の井上って誰?」
「俺、知ってる。条崎の下僕だよ」
こっちも好き勝手いわれてる気が。
しかも、さっきから褒められてるのって紗耶ばっかりだし。
下僕って褒め言葉じゃねえだろっ!!
誰かと当たった。
見たことない女子だ。
入学して2ヶ月近くなるけど見たことないなあ。
何かが落ちた。
ピンクのミュージックプレイヤーだ。
「あっごめんっ」
「……いいの、私が悪いから」
なんだか暗い雰囲気の子だ。
そのままその子は歩いていった。
くるっと振り返ると、紗耶がこっちを向いていた。
「お、紗耶。お祝いでケーキ食いに」
「黙れ」
右ストレートだった。