短編集
その後、時間は流れ、10分休みごとに紗耶と俺の交流(?)は行われた。
そして、空腹が頂点に達する4時間目。
なんと体育だった。
時間割変更ってやつだ。
もちろんブーイングは必須である。
が、体育の先生に一喝され、長距離走に身を投じる生徒達。
なんか憐れだ。
まだ5月で暑くはないが、やる気などない。
受験勉強で力尽きてるからな。
あと、中間テストもあったし。
無駄に広いグラウンド。
だらだら走っても疲れるだけなので、さっさと1人でゴールインをする。
ぽつーんと1人で待ってるのは結構つらい。
よし、次からは道連れを作ろう。
俺は、運動神経は結構いいほうだと思う。
友達にもそう言われるし。
同時に、紗耶も同じぐらいの運動神経を持ってるけどな。
しかも、紗耶の場合は格闘技まで、一通り身に付けてやがる。
空手に始まり、合気道、柔道、カンフー、カポエラ、ボクシング……
これら全てを小学生の終わり目から、中学校卒業までの間に身に付けている。
どんな超人少女だよ。
俺を倒すために身に付けたとしか思えん。
やっぱ、紗耶はすげえよ。
ふと、視線を感じて校舎のほうを見る。
俺らの教室から、紗耶がこっちを見ていた。
確か、ジャージを忘れたって言ってたな。
誰かに貸したとか。
声をかけようかと思ったが、届くわけがないので黙っておく。
紗耶が何かを投げた。
それはゆっくり俺のほうに飛んでくる。
ん、怒ってるわけじゃないのか。
ぽと、と俺の足元にそれは落ちた。
命中率いいなー。
それを拾い上げる。
紙ヒコーキだ。
ノートの切れ端で折ったみたいだ。
とても丁寧に作っている。
とりあえず、それを開く。
中には、