短編集

「紗耶、お前がカポエラに熱心なのって……」

「そこに書いてあるとおり」


あれ、なんだか紗耶の目が冷たい?


「ヨシタカ、私、まだ全国大会一回戦突破もできないの」

「全国大会!?」


いつの間に参加していたんだ。


「私、もっと強くなるから!!そしたら、ヨシタカに言いたいことがあるの!!」


できれば、今言ってほしいな。

というか、これ以上強くなられたら、俺の身が持たん。


「だから、ヨシタカ、それまでは……」


たったっと俺から離れる紗耶。

紗耶の背後から夕日が差していて逆光になっている。

眩しいな。

紗耶の顔がはっきり見えない。

紗耶は、本当に可愛い。

やっぱり俺、紗耶のことが――


「……紗耶、それまでは?」

「私に話しかけんじゃねえぞ!!!クソ野郎――っ!!!!」


紗耶お得意のカポエラが炸裂した。







でも







やっぱり、





紗耶のことが好きなんだ。




END

< 23 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop