短編集


「そして、その子は振り向いてしまったのです‥‥。そこにいたのは‥‥」

「いたのは‥‥?」

「髪の長い女の人がこちらを睨んでいたのです‥‥!!血走った目で!!!」

「きゃああああああああーっ!!」


ココは音楽室。

怖い話をするにはうってつけの場所。

語っているのは香織(カオリ)。

聴いているのは私こと美紗希(ミサキ)。

そして、今悲鳴を上げたのが凛(リン)。


「凛ったら怖がりすぎ。今の話のどこが怖いの?」

「全部こわいよっ!!」

「やっぱ微妙だよねえ、この話」

「香織は私の話、聞く気がないのねっ?」

「う~ん、語り手や演出にもよるかなあ‥‥」


私が感想を言うと、凛の怒りの矛先がこちらに。


「美紗希までひどいっ!!」

「ごめん、ごめんー」

「だって凛は怖がりだしさあ、美紗希の意見の方が一般論だしさあ」

「だったら、何で私まで呼んだのよっ」


凛が必死に反論してくる。

私と香織は顔を見合わせ、言った。


「「だって、凛の反応面白いんだもん」」

「っ‥‥。2人ともひどい~っ」


机の上にばったりと倒れる凛。

私達はそれを見て笑う。

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