短編集

私と親友の香織は演劇部の6年生。

今度の公演会で、『怖い話』を演じるのだ。

と言っても、私は裏方。

香織は主人公の親友役だ。

音楽室でこんな話をしているのは、今となりの部屋で練習をしていて、特に出番がない香織と裏方の私が、議論をしているってワケだ。

ちなみに凛は、ただ呼んだだけ。

特に用はなし。


「しっかし、凛が転校してきてまだ1ヶ月かあ‥‥」


香織がほうっと小さく溜息をつきながら言う。


「そうなんだよね。まだそれだけ。なのに、凛とこーんなに仲いいもんねっ♪」

「‥‥美紗希、何で私の頬をつねるの?」

「知ってるー?ほっぺたが柔らかい人ほどエロいんだよー♪」

「わー凛ってムッツリスケベーっ」

「‥‥」


反抗する気力もないのか、凛はまた机に突っ伏してしまった。

それを見て、笑い合う私達。

平和な午後のひと時。


「私の分の練習終わってるし、そろそろ帰る?」

「‥‥」

「ん、そだね」


香織が帰ると言い出したし、特に反論する理由もないし、帰ることにした。

凛が、がばっと机から顔を上げる。

床に置いてあるランドセルを取る私達。


「ねえー香織、今日遊ぼうかー?凛も」
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