短編集
布団をひいていると、かすかに物音がした。
テレビ、つけっぱなしだったけ?
いや、消してる。
耳を済ませたが、何にも音はしない。
「気のせいかあ‥‥?」
演劇部の子が言っていたことを思い出す。
ちょうど、今みたいな夜の2時から4時の間は丑の刻というらしい。
その時間帯は、幽霊が出やすいとか――
「まさか‥‥ね」
時計を思わず見てしまう。
ちょうど2時半を回ったところ。
丑の刻‥‥。
そのとき、ふと思い出した。
そういえば、ジャケット外に置きっぱなしだ。
猫と遊んでて、置き忘れてきてる
白いパジャマにピンクのパーカをはおい、玄関に行く。
黒の古いサンダルをはき、外に出る。
弊の向こうの道に来る。
まだ、暗闇に目が慣れてなくて見えにくかったけど、周りを見回してジャケットを探す。
意外と外は、そこまで寒くなかった。
もうすぐ冬も来ると言うのに。
庭にある大きな木から枯れた葉がはらりと落ちた。
落ちた先を見ると、そこにジャケットがあった。
そこだけ、工事の赤い光があって見つけやすかった。
ジャケットを取るため、身をかがめた。