短編集
放課後、私は朝の2人の友達と帰ろうとしていた。
その前に、数学の提出物を出し忘れていた私は、職員室へ向かった。
あまり使われないほうの階段に何か落ちていた。
ピンクのミュージックプレイヤー……。
あの子のだ。
ここで落としていたんだ。
自分で落としたくせに、盗られたと言って……人騒がせな子だ。
それを拾う。
あの子に返してあげようかと思った。
でも、昼休みがあの子のせいでつぶれたことを思い出し、ふっと気持ちが変わった。
ミュージックプレイヤーを制服のポケットに入れる。
ゆっくりと歩き、職員室に数学の提出物を届けにいく。
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翌日、土曜日で休みだった。
2人友達と一緒に遊びに行った。
興味もない恋愛映画を見て、感動したーと決まり文句を言い合い、昼食を食べる。
私たちはファーストフード店に来た。
窓際の席に座る。
友達二人が並んで座り、私が一人で座る。
奥の席には、赤ん坊を連れた母親が2組座っていた。
「ねえ、何食べる?」
「ポテトーとハンバーガー」
「……あ、チーズバーガーで」
ぺちゃくちゃと喋る母親。
ほったらかしの赤ん坊。
それをじっと見つめる私。
注文品が来るまで話し続ける友達。
店員が通り、ベビーカーにぶつかる。
赤ん坊のベビーカーがわずかに動く。
はっとする。
赤ん坊のベビーカーの後ろには不良っぽい人たちが座っていた。
そして、床はそちら側に微妙に斜めっている。
人が通るたびに、ベビーカーにぶつかり、動いていく。
危ない。
声を上げるつもりだった。
でも、ふっと気持ちが変わる。