短編集

――母親達が悪いのよ


そんな気持ちが芽生える。

若い店員がぶつかる。

ベビーカーが動く。

不良の足にぶつかる。


「ってーな!!」


はっとする母親達。

泣き出す赤ん坊。

客達の視線が集まる。

友達2人も話をやめ、じっと見ている。


「す……すいません!!!」


青ざめる母親。

それをこっそり見ている他の客。

知らん振りする店員。

嫌な雰囲気になった。

私が何も言わなかったから。

母親たちは、ばたばたと急いで店から出て行った。


「可哀想ー」

「酷くない?」

「……カワイソウだね」


話をあわせる私。

どうせ、可哀想なんて思ってないくせに。

話題が出来た事をさも喜ぶかのように、友達は話し続けていた。


「何で笑ってるの……?」


友達がいきなり私に言った。

不思議そうな顔をしている。

気づかなかった。

私、笑ってたんだ。


*****************************


テストの結果が出た。

もちろん、私が学年1位。


「すごーい!!」

「やっぱり、優等生は違うわ~」
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