短編集
――母親達が悪いのよ
そんな気持ちが芽生える。
若い店員がぶつかる。
ベビーカーが動く。
不良の足にぶつかる。
「ってーな!!」
はっとする母親達。
泣き出す赤ん坊。
客達の視線が集まる。
友達2人も話をやめ、じっと見ている。
「す……すいません!!!」
青ざめる母親。
それをこっそり見ている他の客。
知らん振りする店員。
嫌な雰囲気になった。
私が何も言わなかったから。
母親たちは、ばたばたと急いで店から出て行った。
「可哀想ー」
「酷くない?」
「……カワイソウだね」
話をあわせる私。
どうせ、可哀想なんて思ってないくせに。
話題が出来た事をさも喜ぶかのように、友達は話し続けていた。
「何で笑ってるの……?」
友達がいきなり私に言った。
不思議そうな顔をしている。
気づかなかった。
私、笑ってたんだ。
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テストの結果が出た。
もちろん、私が学年1位。
「すごーい!!」
「やっぱり、優等生は違うわ~」