短編集
そのなかには、あの子が落としたピンクのミュージックプレイヤーが入っている。
他には、私をバカにした男の子のゲームソフト。
あの男の子、徹夜して並んだとか言ってたな……。
バカだよね。
私に取られてんじゃん。
顔がいいから、好き勝手してる女の子の、最愛の彼氏からもらった高価な指輪。
コレを無くした事が原因で彼氏と別れたんだって。
あの子、泣きまくってた。
皆、同情してるかのように慰めてた。
クラスの女子は心の中では笑っていたと思うけど。
指輪も彼氏も味方も友達もいなくてカワイソウ。
そして、それを見て慰めてるフリした皆、弱虫だね。
調子乗ってんじゃねーよってその子に言えなかったんでしょう?
カワイソウ‥‥。
「皆、バカだよね……」
くすっと笑い、それらをポーチにしまう。
他にも色々、入っている。
全部、私のもの。
普通に使ってるんだよ?
ベッドの上に寝そべり、ケータイをいじる私。
窓からは、青空が見える。
まるで、私の心みたいに綺麗に澄んでいた。
END