まーくんの部屋



起きたらテーブルに料理が置いてあって、


お腹がすいたら冷蔵庫から何でも食べてよくて、


夕食にはまーくんがご大層な料理を作ってくれる。



お風呂にも入れるし、


きれいなトイレにも行けて、


ふかふかのベットも占領している。



そして夜になっても、まーくんは仕事をしていて


セックスをすることはない。



そんな日々が、数日続いた。



ここに来るまで、私は絶対死ぬんだと思ってた。


思ってたっていうか、ここに来なければ確実に死んでた。


なのに、この変わりよう。


私は全く理解できなくて、正直苦しんでいた。



まさか、本当に錯覚の通りなのか。


まさか…


でも、もう何日もこんな日々が続いて


そんな淡い期待を持つのも自然なことのよう。



でもそう上手くはいかないと、心の中で一応ストッパーはかけておく。


そんなはずはない。


私はいつか出て行くことになる。


でも、いつ?



ここを出たら、まーくんに見捨てられたら…私はまた逆戻り。


また死に向かっていく。



私が生きるためにできることは、


何とかまーくんに見捨てられないようにすること。



今のままじゃ…


いつ出て行けと言われるか分からない。


何とかしないと。




< 28 / 74 >

この作品をシェア

pagetop