まーくんの部屋



サバは二匹ともご臨終になったから、


まーくんは冷蔵庫にあった他のもので夕食を作った。



食べながら、ちらちらとまーくんの顔色を伺う。


やばい。


やっちゃった…!



まーくんは何も言わず、黙々と食べている。


怒ってる…どうしよう


どうしよう…!!



「あのね、簡単にこのアパート燃えるから。

火だけは禁止。いいね」


「え…」


一言目に出た言葉は『出ていけ』じゃなくて、ひっそり胸を撫で下ろす。


しかもその言葉はまだここにいていいって言ってるみたいで、


淡い期待はまた増す。



怒ってないのかな。


まだここにいていいのかな。



「ごめんなさい…」


「怒ってない怒ってない。

ほら、チカも怪我したらいけないからね?」


見ると、まーくんはいつもの笑顔。


本当に怒ってないみたい。



心に、ぱっと大きな花が開く。


まだ、


出て行けとは言われないみたい。




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