まーくんの部屋



「チカ昨日のことだけど…」


出かけていく寸前、玄関からまーくんは呼びかけた。


照れ臭そうに頬をかいている。



「エッチしたこと?」


「オイ直球だな…」


口を富士山型にして、


今度は頭をガシガシして視線を逸らす。




「まーくんはキスが好きなの?」


昨夜からの一番の疑問をぶつけてみると、


横を向いていたまーくんは吹き出した。



まーくんだけの特徴かもしれないけど、今後の参考のために。


とりあえず、まーくんの所にいる間は有効となる情報だ。



呼吸を整えたまーくんは、少し笑いながら言った。


「イヤ別に なんで?」


木のイスに膝を立てて、


テーブルの上のイチゴに手を伸ばす。


「他の人はしなかったから」




イスに膝をついたまま、もぐもぐと甘さを噛みしめる。


長い髪がうざったく垂れてくるから、雑に手ぐしで後ろにまとめる。


一つにまとめた後に気づく。


あ そーだ。


ゴムないわ。





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