まーくんの部屋



考えている内に夜も更け、まーくんが帰ってくる時間になった。


そしてついに、玄関の扉が開いた。


「まーくん…っ!」


思わず立ち上がり、玄関へ走る。


「ただいま」


扉を開けて見えたまーくんの顔は、いつもと変わらない笑顔だった。


手にはいつもと変わらずスーパーの袋。


「まーくん…?」


「ん?」


今日もまた夜ご飯作ってくれるの?


まーくんの目をじっと見る。


まだ、にこにこした表情のまま。


私はまーくんに手を伸ばして、鞄と上着を奪い取った。


パタパタと走ってそれらを所定の位置に置き、


また走ってお風呂のお湯を溜める。


料理を作り出したまーくんは、その様子を不思議そうに眺める。


あの笑顔が変わらない内に…!


まーくんがなぜかまだ出て行けと言わないから、


この状態ができるだけ延びるように


そう祈るように、私は自分に出来ること、


例えばお風呂を溜めたり、掃除をしたり


そういうことを色々した。




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