まーくんの部屋
お風呂場から戻ってきたまーくんは、いつも通りにこにこしていた。
私はすっと立ち上がると、立ちくらみがして
クラクラして少しよろけた。
テーブルに手をついたら、そこにあったコップをひっくり返してしまった。
「もー
何してんの」
それを見て、まーくんは
怒ったような困ったような表情をして、眉を下げた。
慌ててテーブルに駆け寄って
水がこぼれるコップを立て直した。
腰をかがめていたまーくんが元に戻ろうとしていたとき
シャツをぐいっと引っ張った。
気を抜いていたまーくんは、簡単に近づいてきた。
「え…」
さらに強く引っ張って、私は背伸びをした。
驚いている彼の口に口づけて
熱い息と共に舌を入れると
まーくんは甘い声を出した。
「ん… んんぅ…」
声を殺しながら私を口から追い出そうとしていて
拒否しているようだけど、私ががっちり掴んでいるせいで動けない。
そして続けた。
「あ… チ…ぁ…」
私の肩を押し返す力もだんだん弱くなって
そろそろ落ちるか、と思ったとき
まーくんは私の手を掴んだ。
「はぁ… はぁ…」
荒い息と共に、まーくんは私を睨んでいた。
「俺を、他の男と一緒にすんなっつっただろ!?」
あの時の話。
ついに出た。
でも私は、
追い出されたら…という不安が頭から離れてしまっていて
ただそこにいるまーくんが欲しかった。