まーくんの部屋
この家に来てから、もうどれくらい経ったんだろう。
ずっと部屋にいるから、外気に触れることもない。
空気を垣間見るのは、まーくんが部屋に帰ってきたとき。
玄関の前で荷物と上着を受け取ると、
後ろの扉から冷たい空気が入ってくる。
その冷たさから、冬も深まってしまっていると思う。
まーくんがいない間、私は掃除をしたり、洗濯をしたり。
まーくんの足音がしたら、玄関の前で待つ。
だんだん、まーくんの足音と
同じ階の他の人の足音を、聞き分けられるようになってきた。
聞き分けるって言っても、あの人は背が高いから足が長くて
一歩が大きいってだけなんだけど。
ガチャ…
扉が開いて、その大きな体が現れる。
視線を上げると、その人と一瞬目が合う。
そしていつも、まーくんの方が先に笑う。
「ただいま」
にらめっこはいつも私の勝ち。
「お帰りなさい…」
朝も、玄関でお見送りをする。
時間通りに出て行った後、掃除や洗濯をする。
たまに料理にも挑戦する。
そして毎回怒られる。