まーくんの部屋



「あ、薬局あった 入る?」


「うん」


駅から少し歩いた。


都会らしい街並み。



「俺もシャンプー買おっかなぁ」


「え…じゃあ後にした方が …重いし」


「あー確かに。

でも、どこにあったか忘れそうだな…


チカ、覚えといてくれる?」



この街に来たばかりで、ここになんて


1回も来たことのない私にそれを言うの?



…とは思いながらも、目印となるものをキョロキョロと探す。



手はまだ、繋がれたまま。



正直私は、この手をどうしたらいいか分からない。


そして焦っている。


できれば離したい。



まーくんが私に触れてるなんて、


そしてそれを周りに見られてるなんて


いつもは手なんかカウントに入らないぐらいに、あんなに触れてるのに



何だか、まーくんが誤解されるようで


汚れるようで



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