その一瞬まで…
それは3年生の卒業式が間近に迫った日だった。
いつも通り窓の外を眺めていた。


桜の蕾が膨らみ始めた空から、白いものが降ってきた。

季節外れの雪だった。


私は雪をもっと見たくて屋上に行った。


しばらく見ているとドアが開いた。


「花梨ちゃんだよね?」


『え、そうですけど…』


「俺、3-Dの横川っていうんだけど…」


…3年生が私に何のよう?


「ずっと好きだったんだ、良ければ付き合えない?」


…え

びっくりして声が出なかった。

特になにかしていて目立つという訳じゃない私が先輩に好かれていたなんて…


「…いきなり云ってごめん、返事はいつでもいいから、じゃ」

そう言って出て行った。





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