EXIt
「あれ、今日はやけに静かだな」

 歯無は声の主が語野字であることは確かなので、がっくりした。もちろん振り返って見る気さえないので、微動だにしなかった。

「お主、どうした?」

 語野字は歯無に声をかけて来た。正直、無視したかったのである。

「どうも……」

 と、振り返り返事をしてしまった。頭ではわかっていても、反射的に行動が出てしまっ
たのだ。

「もしかして、アレが始まったか?」

「アレ?」

「暴動が起こったんだろう?」

「ええっ、何で知ってんですか?」

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