EXIt
 もちろん反応はなかった。

 夜なので、戸度橋の隣人たちの窓からは生活反応はある。

 今の時代、隣人に興味がないので、知らないと言われるのがオチなので、今日は帰ることにした。アパートから踵を返したが、直後に歯無は立ち止まった。

「あれ?」

 タクシーが停まり、男がユラユラと歩いて来る。

 歯無は暗がりの先に不思議な光景を見た。

 目をこらしていると、見覚えがあった。

 戸度橋だ。

 近くで見ると、戸度橋は疲れて、服も顔も薄汚れているようだ。

 何か悪いことに遭遇したのか。
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