EXIt
 歯無は鉄格子から出た。右を見ると、十メートル先は壁で行き止まりだ。左を見ると、遥か遠くで何があるのかわからない。

 迷わず歯無は左の先を目指した。

 もしかしたら左右どちらとも行き止まりかもしれない。

 罠かもしれないと、歯無は思うが、ここで止まっていても何も起こらないので、向かった。

 鉄格子が並んでいて、たまに中には人がいた。

 寝ている人もいたし、ただボッとしている人もいたが、話かけるのは憚るので、無視した。

 歯無は直線で百メートルは歩いた、いや走った。

 出口が見えた。

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