EXIt
 歯無は男の忠告を無視して、『EXIt』と書かれた壁に向かった。

 行き止まりだ。

 歯無が壁を触ると、回転して、通路が現れた。隠し扉だったのだ。

 全面、コンクリートで固めてあるため、殺風景である。長い通路の先にドアが見えた。
『EXIt』と、書かれたプレートがドアには貼ってある。出口に間違いない。

 歯無はドアをくぐり抜けると、踊り場があって、男の言う通り、階段は螺旋状になっていた。

 見上げても、出口が見えるわけではないので、永遠に続いているように思えた。

 ここにいるわけにはいかないので、歯無は覚悟を決めて階段を上り始めた。

 普段から運動不足のため、歯無は二階ほど上がっただけで、息を切らしていた。
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