EXIt
「はぁ……」

 歯無はいきなり語野字に呼ばれ、意味不明だった。語野字に用はなく、江利牧に用事があるのだ。

「お主、口を開けていると、虫が入るぞ!」

 語野字は笑わせようと、言っているのだろうが、今の歯無には冗談を取り合えるほど余裕はなかった。

「何ですか!」

 歯無は怒り口調になっていた。

「まあまあ、そんなに興奮してどうした?」

 語野字はベロを突き出した。

 歯無の怒りは収まることはなかった。拳を握って、語野字の顔面を一発殴りたい衝動を抑えるのが精一杯だった。


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