EXIt
「彼なら、数日前までいたのだが……」

 この場所に時計などないし、日付を示すものなどもない。太陽などもない空間なのに、語野字は数日前と言っている。基準がわからないのに、なぜ数日前と言い切れるのかが不思議だ。

「それで、今は?」

 歯無は急かした。

「はて? どこかな?」

「もしかして、もうレベル2には、いないんですか?」

「そうとも言える!」

「何だ……」

 歯無は江利牧に会えば、脱出の解決策がわかるような気がしていたので、がっかりだ。

「そう、落ち込むなよ。ここで我慢して、レベル3に行ったら天国だよ」
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