EXIt
 歯無はすぐに声が出た。驚いたのには理由があった。

「歯無さん!」

 戸度橋だった。

 歯無は知り合いに会えたことでなぜかホッとするのだ。

「どうしていた?」

 戸度橋は手ぶらで歯無の横に突っ立っていた。

「知り合い? そうか、じゃ、ここに座りなさい」

 語野字は気を利かせ、席を立って行った。

「久しぶりです」

 戸度橋は深々と頭を下げた。

「そんなにしなくてもいいよ」
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