君が、イチバン。

ああ、やめておけば良かったな。と、ドクドク走り出す胸の音を感じながら思った。

勿論、一条さんが悪いんじゃない。偶然が重なっていつかこんな日が来ると心の準備をしてなかった私が悪い。

焼肉屋のおばちゃんだってさっきまでここにいたと言ってたじゃないか。


「…椎那?」


ああ、もう。

変わらない、声。


「お久し振りです」


目の前の、少なからず驚いた顔をする『鰐渕さん』に動揺を悟られたくない、と思った。


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