君が、イチバン。
急激に熱を失う左手に、寂しいと思う私はどうしょうもない。
私はゆっくり首を横に振る。それが精一杯だった。
「そうですか。だけど、」
ポンポン、とあやすように私の頭を撫でる一条さん。
「聞きたいとは思います」
穏やかに、柔らかに、だけど、真摯に。
「一条さん、男前過ぎです。そしてずるいです」
なんかもう、やられたなと。
「今更ですか」
「今更ですね」
見つめあって笑うと、私は頭を下げた。
一条さんに話を聞いてもらったら楽になるかもしれない。違う答えをくれるかもしれない。だけど、そんなの求めてない。
「お疲れ様でした」
一条さんが少し、苦笑した。