君が、イチバン。
乗り込んだ車内で四宮君は無言のまま。
だけど、沈黙は重くなくてこれが普通になってきた私は確実に四宮に慣れてきている。
「もうすぐクリスマスだね」
イルミネーションが施されつつある景色に独り言の様に呟いた。街路樹は既にキラキラと輝いている。
「…おまえ誰かと過ごすのか?」
四宮君の言葉に思わず笑った。
「クリスマスは皆フルで仕事じゃなかったっけ」
まあ基本的にイベント時は稼ぎ時だからサービス業に休みはない。何年もそんな感じだからクリスマスをちゃんと過ごした記憶がもう朧気だ。
「そうだな」
四宮君は少し頬を染めた。
キメが細かい白い肌だから闇に溶け込んでもくっきりと反射する。若さと美形ってほんとずるいわ。
「なんか予定あったの?」
友達とか彼女とかその他諸々とワイワイギャーギャー羽目を外すんじゃないのか、若者よ。
「別に。クリスマスとか興味ないし」
本当に興味のなさそうな口調、意味不明だ。
「けど、」
「けど?」
声を止める四宮君。なになに。
「無神経な女と一緒に過ごせるのは間違いなさそうだな」
無愛想な美少年は全く表情を変えない。
そ、れは。浅い意味か、深い意味か。