君が、イチバン。
四宮君がぞくりとするような流し目を送る。どう育ったらそんな色気を出せるの。氷の王子?とんでもない。燃え尽くされそうなんだけど。
流れたキワどい空気を破ったのは四宮君の携帯。マナーモードの振動音だけがやけに響く。
「取らないの?」
携帯を見ようともしない四宮君。無機質なバイブ音は止まっては鳴るを繰り返している。四宮君はため息を吐いて面倒くさそうに携帯を取り出した。
「…もしもし」
微かに洩れる受話器越しの声は甲高い女性の声。
「あゆみ?」
「ああ…、…。」
「無理」
短い電話は切られる。殆ど口を開いてないんだけどあれで会話が成立するの?
「いつもそんなんなの?」
「面倒くさい」
「彼女からじゃないの?」
私の言葉に四宮君は不機嫌そうにこちらを見つめた。
「…彼女じゃない。」
澄んだ宝石みたいな黒い瞳は真っ直ぐ私を見つめたままで、四宮君はそのまま口を開く。
「おまえしかいらない」