君が、イチバン。
「あなたユキの何なの?」
やっと休憩に入って店内の自販機の前に立つ私の横に、何人かの女の子が寄ってきた。死角になったこの場所は人通りが少ない。
まだ20歳手前なんて思えない化粧の上手さに感心しながら、若いんだから化粧なんてしなくても大丈夫なのに、と思う。まあでも大人ぶりたい境目の年頃だ。
「何って?同僚かな?」
「ふざけないでくれる?迷惑なんだけど?あんた何か勘違いしてんじゃないの?」
尻上がりの語尾は若い子特有で鼻につく香水のキツイ匂いにクラクラする。
「調子にのんな、ブス!」
「おばさんー」
「謝れよ!『オバサンが四宮様に近付いて申し訳ありませんでした』って土下座しろよ!」
「どーげーざ!」
「どーげーざ!」
異様な空気の中、土下座コールが響いて、嫉妬に染まった目を見て、女ってほんと怖いと思う。
「土下座?しないよ?なんでしなきゃなんないわけ?」
ねえ、バカなの?若さの使い道間違ってるだろう。