君が、イチバン。
それから、私の顔を見て表情を歪めた。
「…おい、誰だ。この無神経女の顔やったの。ゆかり、おまえか?」
空気が凍る。ゆかりらしき子はさっきまでの勢いなど全くなく、青白い顔でガタガタと震えている。だが、ちょっと待て。この場面でも無神経女とか言ったりするのか四宮君。ひどい。
「顔出せ」
叩く気だ、と思った。だめだ、それは、
「四宮君!ちょいまち!」
「おまえは黙ってろ!」
四宮君の腕が上がって、ゆかりちゃんが目を瞑る。私は必死でその手を抑えた。
「なんだよっ!アホかおまえは!」
「いやいやおかしいでしょ!」
「おまえな!俺はっ!」
揺れる四宮君の瞳がぶつかる。怒ってるのは間違いない。その理由だって分かる。けど、
「分かったから!怒らせたら怖いの分かったから!でもダメでしょうが!その手グーじゃん!絶対ダメだわ!ないわ!ない」
ブンブンと頭を振る私に四宮君が舌打ちした。