君が、イチバン。
とにかく後ろを振り返らず、ドタドタと歩いて、スタッフ用のドアを開ける。冷たい風が体に一気に押し寄せた。
「はーーーーーぁ」
そして私は長い溜息を吐いた。
四宮君はそんな私を呆れたように眺めて、
「おまえお人好し過ぎるだろ」
と一言。
「どこが?一応反撃したし。大体さ、四宮君が乱入してこなかったら髪の毛引っこ抜く気だったんだよ、毒気抜かれちゃった」
「…変な女」
「なにそれ、新しい褒め言葉?」
「褒めてねーよ」
くしゃり、と笑った四宮君。良かった、いつも通りだ。
「…俺のせいだな」
四宮君が私の頬を見る。多分少し赤くなっているんだろう。
「そうだろうね!」
「否定する素振りみせろよ!へこむわ!」
うーん、相変わらずナイスツッコミだわ。
「けどさー、多分私嫌われる人種なんだよ。仕方ないわ」
二カッと笑った私に、
「…すまない」
四宮君が項垂れたように謝る。気にしなくていいと、言った所で気にするんだろう。良い子だ。