君が、イチバン。
それとも珍獣に愛着の沸くアレな感情か、とツラツラ考えていたら、瑛ちゃんがいつの間にか、ガーゼを濡らして頬に貼った。
「言いたくない?」
目線を合わせる瑛ちゃん。言えない訳じゃないけど、心配かけたくない。コクンと頷けば、瑛ちゃんは頭を撫でて困ったように笑う。
「しいちゃんにはかなわないな。良いよ。けど、次はない。いい?」
触りたくなるようなフワフワした猫毛の髪が揺れる。緩い笑顔のままなのに、口調だって優しいのに、少し怒ってるなと思う。ごめんね、の意味をこめて瑛ちゃんの胸に頭を預けた。
瑛ちゃんは私の頭をポフポフと撫でる。それから、
「よし、時間なくなるから行こう?」
「え?どこに?」
手を掴む瑛ちゃんを見上げた。
瑛ちゃんはお構いなしに壁にかかった上着を私にかけて自分の首に巻いてあるマフラーを私の首に巻くと、更に毛糸の帽子を被せて、腕を引いた。