君が、イチバン。
暗くてよく見えないけど国道を外れて山道を走っているのは分かる。ここどこ。瑛ちゃんに聞いても答えてくれないし、ラジオから流れるクリスマスソングを力いっぱい歌ってやった。
瑛ちゃんは楽しそうに笑ってる。「しいちゃん、音程外れてる。そこは、半音下がるから、あーじゃなくて、あぁだから」とか瑛ちゃんがダメ出しするから、その内ムキになったりして何だかんだ瑛ちゃんと一緒に歌った。
ーーー
「着いたよ」
やっと辿り着いたのは1時10分前。瑛ちゃんに手を引かれて、車を出る。
ーーー顔を上げて息を呑んだのは、
木に囲まれたその場所に、小さな手作りみたいな公園があって。
その真ん中に、大きなクリスマスツリー。
綺麗に電飾されていて冬の闇に煌めきだけが浮き出る。
「なに?これ、…すごい!!…綺麗。」
柄にもなく乙女モードに入りそうな位幻想的だった。
澄んだ空気にゴールドの輝き。
大きなツリーの所々に飾られた小さなプレゼントやベルに長靴に兵隊の人形。微かに揺らめいて月明かりに反射する。
静かなこの場所だけが別世界みたいで、それからは言葉を出なくて、ひたすら見とれた。