君が、イチバン。
何も、考えられなくて、ただ鼓動だけがうるさい。
瑛ちゃんはそんな私に構わず、ずっと抱き締める。
それから、向き合ってもう一度、指先が私の頬をなぞって、触れそうで触れない距離にゆっくり近付いた時、
「わっ」
一瞬で辺りが真っ暗になった。
「あーあ、良い雰囲気だったのに」
暗闇の中で瑛ちゃんがクスクス笑う。
「電飾、1時までなんだよ」
「そ、そうなんだ」
絶妙なタイミングと、月明かりに照らされた瑛ちゃんの熱を含んだ表情が、綺麗で、なんかほんとずるい。
「体、冷えちゃったね?」
いきなり連れ出してごめんね、と瑛ちゃんはまた私の首のマフラーを巻き直す。
…そういえば、あまりにも幻想的な雰囲気に飲まれて忘れてたけど、私パジャマじゃん。てか雪だるまじゃん。