君が、イチバン。
「正確には、今は。だけど」
どうゆうこと?
「あの公園の反対側にログハウスがあって僕の叔父がそこで仕事してたんだよ。その人の趣味。今は海外に行ってるから四年位前から僕が引継いだ。タイマーをセットするだけだから、そんな大層な事はしてないけどね?」
「毎年来てたの?」
「見に来るのは久しぶり。好きな光景だったし、何となくで続けてただけだったから」
瑛ちゃんはツリーを眺めて、白い息を吐いた。
女の子を連れてきたら口説くのに最高のシュチュエーションだろうなとかこっそり思ったりする。私もマジックにやられそうになったもんね。
だけど、ショーは終わってしまった。寂しいと思うのは、あの光景が私も好きになったからだと、隣の瑛ちゃんを見ないように言い聞かせる。
「しいちゃんだけだよ」
「え?」
「ここ連れてきたのしいちゃんだけ」
なんで、それどうゆう意味、言葉が見つからなくて焦る。瑛ちゃんの静かな瞳だけが私を映して言い様のない感情に包まれた私は唇を噛んだ。
「ドキっとした?ときめいたー?」
と緩く笑った瑛ちゃんはいつも通りで。冗談だったんだ、もう、ひどい。
「帰ろっか」
手を繋いで歩く。
「瑛ちゃん、ありがと」
「ん、どういたしましてー」
揺れた感情は抜きにして、良いクリスマスになったよ、瑛ちゃんのおかげで。