君が、イチバン。

次の日、宣言通り私は一条さんの車の助手席に座っていた。


「あ、の。ゆかりさんは?」

ゆかりさんにも協力してもらうって言ってたよね?何故、当たり前のようにLaiへの曲がり角をスルーして進んでいるのか。

「ゆかりさんは店の方の撮影を任せてありますから」

じゃ私はどこへ?

当然の疑問文に一条さんはゆっくり説明をしてくれた。


「店舗のレストランで来年のバレンタイン限定ウェディングの企画があります。それの撮影をします。若咲さんは花嫁役ですが、誰か特定できるようなスナップではありませんので大丈夫ですよ」

「ドレス着るんですか?」

「…話聞いてましたか?」

聞いてたよ!聞いてたけどさ!なんか色々急過ぎるだろう。そして色々心配過ぎるだろう。もっとちゃんとしたモデルに頼めば良いのに!
という私の心の声を一条さんはまるで聞いていたかのように、言葉を続ける。

「予定していたモデルさんが別の仕事が入りまして。若咲さん身長は160は越えてましたね。体型もその方と似ていますから問題ありません。お給料も出すので安心して下さい」

と微笑んだ。




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