君が、イチバン。

着いたのは、いつか一条さんに連れられてきたチーズケーキみたいなレストランだった。ここも系列だったんだ。
定休日なのか店は閉まっていて、あの時のギャルソン君に「お久しぶりです」と頭を下げられれば、あれ、なんかハメられた感が強いんだけど気のせい?


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ディスプレイされた店内は実際にウェディングの時仕様らしく、アーチを描くチョコレート色とピンク色のバルーンをくぐって、見渡す店内は随所にチョコレートカラーな小物が取り入れてあって可愛い。前回は宝石箱みたいだと思ったけれど、今はアート色が強くて、だけどポップな色合いにこれは受けるだろうなと思った。

まだカメラマンさんなんかは来ていないようで、店内を見学させてもらった。

「どうですか?」

いつの間にか横に立つ一条さんを振り返る。

「いいですね!これテンション上がりますよ!」

「それは良かった。向坂君は色んな所からアイデアを引っ張ってくるんですよ。今回も知り合いの方に『女の子ってチョコレートみたいだよね』と言われて閃いたらしいです」

「…おお、格言ですね」

瑛ちゃんあたりが言いそうな言葉だとか思ってみたり。

微笑む一条さんは「何か気のついた事はありますか?なんでもおっしゃって下さい」とテーブルクロスを直しながら言う。

「とんでもないです。あ、そういえばケーキはやっぱりチョコレートですか?バレンタインですもんね」

どんなケーキが振舞われるのか好奇心でいっぱいだった。




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