君が、イチバン。

モヤモヤぐるぐるしながら、そんな私がまた新たな展開を迎えたのは、最近登録した番号からの電話だった。

取りたくないな、直感だ。無視したかったけれど、私は大人だ、大人、大人。

『椎那ちゃん、会えない?』

それは無理矢理封じ込めた過去からの電話。


ーーーー

古びた店内は静かで、年配で落ち着いた感じのお客さんが多い。ファミレスなら良かったのにと思う。騒がしさに紛れて私のこのいたたまれない感じも考えなくて良かったかもしれない。雰囲気の優しい喫茶店で、一人、電話の主を待つ。二人で、JOUJOU以外で会うのは二度目だ。一度目の事は忘れたくても忘れられない。
奈津美さんから着信がある事は予想してなかったわけじゃない。番号だって交換したんだし。

カラン、とドアの開いた音がして、目線を上げれば乱れた髪を直して奈津美さんが入ってきた。一瞬、あの青白い顔を思い出したけれど、勿論今、奈津美さんがそんな表情をすることなく、私に気付くと手を振って笑顔を向けた。

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