君が、イチバン。
瑛ちゃんが、パチリと瞬きした。やだ、やっぱり聞いたら駄目だったのか。わしわしと何か後悔みたいなものが背中を走って、「あーほんと美味しかったなー」とか何もなかったかのようにお腹をさすりながら言ってみる。わざとらしかったかもしれない。
「今は日本料理の店で働いてるよ」
「へー、そうなんだー。瑛ちゃん見た目は洋食風なのにねー」
「イタリアン専門店にもこの前までいたけど、やっぱり和食が合うみたいだからね」
「ほえー」
ほげー。とか、いや、え?そうなの?
軽く流したけど、実際ビックリした。だって初めて聞いたもん。いや、そりゃあ初めて疑問を口にしたんだから当たり前だけど。
私の動揺が伝わったのか、瑛ちゃんはやれやれと息を抜いた。
「いつか、自分の店を持つつもりでいるよ」
あっさり言ったその言葉は少なくとも衝撃的で。