君が、イチバン。

馴染むのはカラダと多分、心

◆◆◆

…またぼんやりしてるよ。

今日一日で分かったのは四宮君の無表情は単にぼんやりしてるだけだって事。
いきなり俺様発言したかと思えば、ただでさえ長くて鬱陶しい髪を理由もなく引っ張ってくる。

やりたい放題だ。なんの罰ゲームか問いたい。だけど初めの印象の悪さはすっかり消えた。



閉店時間が過ぎて片付けも終わった頃、沖君が上がってきた。

「今日はごめんね」

首をかしげて謝る姿は確かに何かよく分からないツボを心得ていて、こんなのが母性本能をくすぐるんだなと思った。餌を持ったプレーリードックに似ている。

沖君は四宮君にも「お疲れ様」と言って無邪気に笑う。
四宮君は相変わらず無愛想に会釈しただけだった。


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