君が、イチバン。
「つまりさ、それってその人間のペットになりたかったって事だろ?」
四宮君のビー玉みたいな瞳が、当たり前のように色を変えずに私を射抜くから、
「そう、じゃないけど」
居心地が悪くて、言わなきゃ良かったと思う。
「ちゃんとしたペットがいて悲しいって話だろ?どうするも何も完結してんじゃねーか。野良猫が自分も混ぜてくれと擦り寄るのが正解じゃねえの?」
その人間に同じように自分も可愛がってもらう?分け与えられて、おこぼれのように餌を貰うなんて、嫌だ。
「猫の話ならな?人間だったら別だ。俺だったら無理矢理奪うよ。どうしてもその場所が欲しかったら。ペットがいようとそれに似た恋人がいようと」
真っ直ぐな四宮君の視線は痛い。それに四宮君らしい答えだなと思う。
「だって、好きなんだろ」
見透かす様なその視線と言葉にどくんと何かが降下するように胸の下に響いた。
「好き?とかそんなんじゃなくて」
「じゃあどんなんだよ」
「人間の隣はさ、居心地が良かったんだよ。だから、裏切られたみたいな。だけどそう思うのはお門違いで」
曖昧で、ワガママで、着地点の分からない感情で、四宮君みたいに真っ直ぐに好きと言える程確かでもないのに、
「おまえさ、ジェットコースターみたいなのだけが恋だと思ってる?」
四宮君はそんな中途半端な私を許さない。