君が、イチバン。
「俺はな、おまえが好きだよ。ペットみたいに誰かと共有する気もない。だけど、おまえが誰かだけの物になりたいなら邪魔する権利はないけど幸せになれって思える訳じゃない。破れちまえって思う。綺麗なだけじゃねーだろ。それを否定するのか?向き合えよ無神経女」
煙草を消して、四宮君が私の頭をコツン、と叩く。
「私の話、じゃ、ない」
鼻がツンとする。四宮君、きみって大人だ。五年も長く生きてるなんて偉ぶってごめん。
「あー、野良猫の話な。はいはい」
コツンと叩いたくせに、今度は優しくポンポンと撫でる。見上げると、同時に頬に冷たい何かが当たって、いつの間にか雪が降り始めた事に気付いた。
「まだ恋愛資格がないとかグダグダ言ってんの?」
「違う」
だって、きみがくれたじゃない。
四宮君は切なげに笑う。雪の降る景色に溶け込みそうな程綺麗で優しい。
「なんで、…そんな優しいのさ」
調子、くるう。
「優しくねーよ。…おまえね、ずっと泣きそうな顔してんだよ」
四宮君が私を覗きこんで、苦笑した。
「そんな顔みたくねーよ、無神経女」
ほら、四宮君は、優しい。