君が、イチバン。

幕間




幕間




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…好きな女の感情を煽ってどうする。四宮は自身にため息をついた。

椎那との不毛なやりとりを終えた翌日、気分転換に馴染みのオートショップへ足を運んだ。「やぁん!ユキたん来てくれたのぉ!」オカマ店主の止まらないマシンガントークを右から左に受け流しながら、四宮は目の前を歩く男女に目を奪われる。
長身で目を引く容姿の男と、それに腕を絡ませる髪の短い女。
目が合えば、軽く頭を下げたのは四宮の知る人物で、今一番気になる女に関係するだろう男だったからである。
相手も気付いたらしくにこやかに笑って足を止めた。


「ども」


横にいる女は四宮と隣の男を交互に見比べて、真っ赤な爪をこちらに指差す。

「瑛太?知り合い?丁度良かった。君、今暇?」

ベリーショートの女は四宮に微笑むと、
返事をする間もなく瑛太の背中をトンと押した。


「ちょっと、瑛太と遊んでてくれる?良かったわ」

女には断るという選択肢などないと言った風で、「そういう訳だから!すぐ携帯にかけるからどっかでお茶でもしてて」
と手をヒラヒラさせると颯爽と向かいのビルへ歩いて行った。


「…忙しい人だよね?」


『瑛ちゃん』の苦笑に四宮は不機嫌に無表情を貫いたが、


「ま、いいや。お茶でもしよっか?」


適度に軽いその口調に、いくらでもある断る理由を口にせず頷いた。




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