君が、イチバン。
ご馳走様、と言って四宮君は若干上から目線で私を見つめる。
「で?」
「はい?」
「で?」
「え?」
「で」のオンパレードに、「ど」とか言ったら怒られるだろうとか思いながら、私より少しだけ身長の高い四宮君を見上げる。ビー玉みたいな目は苛ついているようだ。こわいよ、しのみやくん。
「瑛太さんとは話はしたのか」
平坦な声。やっぱりこの子はいつも直球勝負だ。
「してない。というかしない」
あの例え話から瑛ちゃんを導き出したとしたら、なんて勘の良い子なんだろうと思う。
「…なんで」
四宮君の眉が不快そうに上がる。だけど、四宮君みたいに真っ直ぐになれないのが私だ。
「もういいから。答えなんて見つからないままでいい」
考えて、考えて、そう決めた。元々あやふやな関係だ。もしもあの女性の登場で変わる何かがあるとしたら、私と瑛ちゃんの距離だろう。もうそれでいい。穏やかに終わりがくればそれでいい。
それが、私がセロハンテープで応急処置した意思。