君が、イチバン。
ギィと重厚なカスタムデザインの扉を開ける。
マスターらしき人と目が合って、続いてすぐに瑛ちゃんが目に入った。隣にはあのベリーショート女の人がいる。いつか冴草さんが言っていた友人だろうか。
だけど、もうどうでもいい。なるようになれ、とやけっぱちになりながらだけどとこかで、清々しさを感じているのも事実だ。
「椎那、おまえ、服くらい直せ」
いつの間にはだけていたのか胸元が寒いと思ったら、風圧でデコルテのあたりが晒されている。
何を思ったか四宮君は、また来てくれたのぉとボディタッチしてきた巻き髪美人をまると無視して私の胸元を直す。
「そんな戦闘態勢みたいな顔すんなよ、ただ飲みに来ただけ。いいな?」
と入り口近くのテーブルに座って向坂さんのボトルを頼んだ。
え、色々よくないけど。あなた未成年、
「今日でハタチ。向坂さんがお祝いしてやるっつってたからかまわねーよ」
面倒くさそうに足を投げ出して、ポケットに手を入れた四宮君。
「え、誕生日?」
こんな事してる場合じゃない気がするんだけど。
「お、めでとう?」
「なんで疑問文なんだよ」
「いや、いいのかなと」
友達とか彼女とかその他諸々とワイワイギャーギャー羽目を外すんじゃないのか、ってこれ前にも思ったな、と思えば、四宮君はプイと目を逸らす。