君が、イチバン。

当初の目的はどこに消えたのか、むしろ目的はなんだったのか、四宮君は向坂さんのキープやら、頼んだお酒やらを飲んでいる。なに、君、ものすごくお酒強いんだけど。
そして、私も「俺の誕生日を祝え」と飲まされる。
好きな映画の話をしたり、下らない会話をしたり、なんか楽しくなってきて、今日はこれで良いんじゃないかとか思い始めた私の意思の弱さは言った通り惰弱なのだ。

ちょっとトイレと席を立てば、瑛ちゃんと目が合った。なにしてんのしいちゃん、と声が聞こえてきそうだ。私もなにしてんだと思うよ!
あの日から会うのは久しぶりで、鞄の中にひとつ、瑛ちゃんへのバレンタインが転がっているのを思い出して溜息がでそうになる。私は何がしたいんだろう。


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鏡に映ったほんのり赤い顔。化粧なんてとっくに落ちちゃってるし、正直女としてどう、な感じの顔をパシパシと叩く。しっかりしろ、「大丈夫」と言ってくれる瑛ちゃんは私のものなんかじゃない。
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