君が、イチバン。
どうだ、みたか、嫌な女だろう。やられたらやり返す、倍にはしないがな!
瑛ちゃんの大切な人かもしれない。だから、何でもない関係を装うのが正解だったのかもしれない。だけど彼女から感じたのは瑛ちゃんの人格を無視した独占欲だ。アクセサリー感覚で瑛ちゃんを隣に置くなら私が持つ武器で応戦してやる。
例え負け戦だとしても、それくらいは許して欲しい。関係ないんじゃなかったって?私の意思は夜の風に飛んでいったんだよ。セロハンテープだったからね。
ああ、もう、嫌だ。酔ったのかな、目の前が熱い。
「…椎那?」
ドサリと座った私を四宮君が覗きこむ。今私の顔、見ないで欲しい。
「…帰ろう、四宮君」
もう、いい。
「…どうした?」
悔しい、と思う私が嫌だ。ブンブンと首を横に振る私の肩に腕を回して、四宮君が抱き寄せる。
「俺んち、来い。おまえをこのまま帰せない」
耳元で落ちた吐息に、私は顔を上げて甘く私を映す瞳とぶつかる。四宮君、だめ、嫌だ。
瑛ちゃんが見てるかもしれない、と思う自分に驚いて、だけど四宮君は構わず私を抱き締める。やめて、と口に出そうとした時、
「そこまで」
その声が私と四宮君をグイと引き離した。